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~ その日 僕は東京の西の方を歩いていた ~ よく晴れた春先の山中は 長い冬の静かな重さに耐えてきたからか 靴の裏に確かな余韻を残し 足跡だけが僕の後方に続いていく 取り巻く空気は もう春のそれであったが つま先だけはいつまでたっても冷たかった 暖かな日差しが僕を包み込んでいく ある時 道は 前に広がっているだけではなく 下ることもできれば 引き返すこともできた 昔の哲学者のように歩きながら考えていた時 突然降ってきた 山からの音 あり が と ーーーーーーーーーーーーーーーう ま ーーーーーーーーーーーた ーーーーーーーーねーーー す ーーーーき ーーーーーーだ ーーーーーーーーーーーーーーーーー っ 山から聞こえてきた音は いつかの日にか 昔 僕が放った言葉だった 車のことを “ブーブー” と言ってから 僕は沢山の音を 沢山の対象物に向けて発してきた 大好きな友達に “遊ぼう” と何度も言った 両親には “いただきます” を 恋人には “愛している” と繰り返す 成長してゆく中で 過ちを避けては通れない そんなときはいつも “ごめんなさい” と 少し蒸し暑くなってきて僕は上着を脱いだ 腰に上着を固く結んでから深呼吸をして また足を進めた 落ちている木の枝を踏むと ポキポキッと鳴った それがとっても 気持ちよくて 見つけては その上を歩いた 枝の気持ちはつゆ知らず ただがむしゃらに踏んで歩いてきた 遠くの山には ふるさとに住む仲間の笑顔が浮かび 額から落ちる汗は 通り過ぎていった思い出が映り 記憶と共に流れていった 歩きながらおにぎりを食べていると 中に光るものが見えた しょうゆ味のカツオブシが光っている なんだか沢山キラキラしいると思ったら それは雨でぬれていた そのうちに それが ぽつりぽつりと増えてきて大きくなり 僕は叩かれた い な く な れ か えっ て く る な ば か も う く る な 冷たい雨と共に これまでに僕が言ってきた言葉が 降ってきて突き刺さって いたくて いたくて 倒れこむ 自分に向かった言葉でも 誰かに向かった言葉でも すべての言葉が 主語をなくした形で返ってくる 投げてすぐに戻ってくるブーメランがあれば 昔 どこかの空に消えた風船さえも 時を経て戻ってくるし 返ってくる 何も考えずに 汚い言葉を使ったら 自分がどんどん汚れてしまう だから 気持ちを込めて 温かな言葉を伝えよう きっと みんなが 楽しくなるから これからは 温かい言葉を 目の前の人に 贈ってゆこうと思う ありがとう 僕たちは ありがとうから はじまってゆく ~ その日 僕は東京の西の方を歩いていた ~ From Hantama to you. Photo by yorizo,written by ibukijohn. This is a message of Hantama.
by john-yorizo
| 2006-03-06 12:39
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Tracked
from Hantamaの頭の中は
at 2006-03-06 12:41
タイトル : Echo
~ その日 僕は東京の西の方を歩いていた ~ よく晴れた春先の山中は 長い冬の静かな重さに耐えてきたからか 靴の裏に確かな余韻を残し 足跡だけが僕の後方に続いていく 取り巻く空気は もう春のそれであったが つま先だけはいつまでたっても冷たかった 暖かな日差しが僕を包み込んでいく ある時 道は 前に広がっているだけではなく 下ることもできれば 引き返すこともできた 昔の哲学者のように歩きながら考えていた時 突然降ってきた 山からの音 あり ...... more
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